特徴
フランスのロワール川下流域を中心に栽培されているぶどうの品種です。辛口の爽やかで軽快なワインとしてよく知られています。フランスのワインが知られた1980年代の日本でも、和食に合わせやすいという事で、いち早く浸透した辛口ワインの品種でもあります。
主な生産地
フランスのロワール川河口付近を中心に栽培されています。河口寄りの西側がナント周辺地区、東側がアンジュー地区としてそれぞれミュスカデの栽培地域として名を馳せています。
この地域では3世紀の半ばころからワインが作られてきており、18世紀の初め頃に現在のミュスカデの形にたどり着いたと言われています。
テロワールが重視
ぶどうというのは、各土地や土壌・気候によって味を大きく変える果物のため、同じ品種でも異なる風味を持っているということも珍しくありません。そのような機微をフランス語で「テロワール」と呼び、ワインを評価するうえで欠かせない単語・概念として扱われています。
ミュスカデはこのテロワールの違いから、フランスのナント周辺地区だけでも「ミュスカデ」「ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ」、「ミュスカデ・デ・コート・ド・ラ・ロワール」、「ミュスカデ・デ・コート・ド・グランリュー」という4つのAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ※フランスワインなどに与えられる品質保証の認証)に分けられています。
シュール・リー製法
ミュスカデは、「シュール・リー製法」という製造方法が用いられるワイン用のぶどうとしても有名な品種です。シュール・リー製法とは、発酵の際に生じる発酵酵母の残骸などが主成分の澱みを、発酵完了後も取り除かずそのままワインと一緒に越冬させるという製法です。
この製法により、ほんのりとした複雑さを持たせミュスカデに個性を持たせるということに成功しました。
ミュスカデの風味と合う料理
フルーティでさっぱりとした口当たり、そして酸味のはっきりした辛口という点と、栽培地域が河口付近と海に面している点からも、魚介と良く合う白ワインとして知られています。
日本でも広く浸透した際は、お寿司やお刺身、天ぷらと一緒に食べる方法が人気を集めました。
価格について
ミュスカデのもう一つの特徴に、リーズナブルな価格帯で白ワインが作られるという点にあります。もちろん銘柄によっては高価なワインとなることもありますが、一般的には「手が出しやすい辛口ワイン」として現在も広く人気を集めている品種です。
おすすめワイン
所有する60haの畑の管理と、自社ブドウを使ったワイン造りを行うのはローラン・ペロー氏が作るワイン。
当主、ローランの生まれたペロー家は、その歴史をナポレオン時代に遡る由緒ある家系です。7代にわたってペイ・ナンテ地区でワイン造りを継承し、このエリアを有名にした立役者でもあります。厳選重視をモットーに、古いもので樹齢50年、その中でも特に品質のよいブドウを選び抜いて醸造を行っています。
おまけ
藤原伊織著「名残り火」の中で、登場人物が好きなワインとしてミュスカデが登場しています。
つねご
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