多くのワインに入っている酸化防止剤…
言葉だけで判断すると「悪い物」に聞こえます。
しかし実際に酸化防止剤は何のために使われていて、それによっての影響などはあまり知られていません。
酸化防止剤について知る事によって、いつものワインを違う角度で見る事ができるかもしれません。
そんな時に時に是非読んで頂きたい本があります。
ワインの科学「私のワイン」のさがし方 清水健一著
ワインに関する疑問を、農学博士でありワイン醸造技術士でもある、清水氏が科学的にしっかりと説明をしてくださいます。
ワインのHow to本や、オシャレなワイン雑誌のような、読み心地の良い言葉でワインを解説してくれるのとは違います。
科学的な見地からしっかりと、読者を甘やかすことなく、詳しく解説しているので、うっかりしていると話について行けなくなります。
頭から順に読むのではなく、気になる章を気が向いたときに読むのが良いのではないかと思います。
ワインの科学 もくじ第一章 ワインの”常識は”誤解でいっぱい第二章 科学的ブドウとワインの歴史第三章 ワインのブドウを科学する第四章 ワインへの”変身”の科学第五章 ”熟成”神秘第六章 やさしい科学でワインが解る!第七章 ワインと健康の科学
第一章はワインに関する疑問などを、科学的にぶった切って下さるので、気軽に読めます。
第二章から第五章は多少科学的に突っ込んだ内容が多いので、軽く目を通して興味のある章をじっくり読んでみる感じで良いかと思います。
第六章、七章はわかりやすい内容なので、すべて読んで理解するとワインの楽しみ方がより広がってくるかと思います。
その中で、いまだ正しく理解されていない亜硫酸(酸化防止剤)について内容をご紹介します。
第6章 やさしい科学でワインが解る!
(4)ワイン醸造のマルチタレント”亜硫酸”…ワイン醸造における二酸化イオウの役割は多岐にわたっています。これだけ多くの機能があるので、その代替となるものは簡単には見つからないでしょう。ワインと二酸化イオウの関係は、見方によっては、ビールとホップの関係に似ています。
(A)殺菌作用
(B)酸化防止作用
(C)果皮からのポリフェノール抽出の促進作用
むしろ、ワインと作るうえで大切な役割を果たしています。
同じく第6章(4)より…前述のように、ワインの中に二酸化イオウとして存在するのは、遊離二酸化イオウのみで、その含有量はびん詰め直後でも20~40ppmです。すでにこの時点で、規制値の10分の1しか含有されていません。その上、びん詰め後、消費されるまでに、ワイン中の二酸化イオウの量はさらに減少し、びん詰め後0.5年~1年後に飲んだ場合にはほとんどゼロになっているケースが大半です。これらの事実を総合して考えると、ワインの中の二酸化イオウが、人体に有害な影響を与える可能性は全くないと言い切る事ができるでしょう。
ということは、よく「私、酸化防止剤の入っているワインは悪酔いする…」と言っている方は、ダメな理由は亜硫酸では無いようです。
同じく第6章 (5)亜硫酸無添加ワイン…亜硫酸無添加ワインとそうでないワインの違う点は(A)通常のワインでは、発酵中の酵母によって副生成され、不快臭を有するアセトアルデヒドが、亜硫酸と反応して無臭の物質に変化しますが、亜硫酸無添加の場合は、アセトアルデヒドがそのまま残っているため、ワインの香りが悪くなります。(B)果汁の段階で亜硫酸がないため、酸素によるポリフェノールの酸化が速くなり、著しい場合には、果汁が褐変します。(C)びん詰め後に亜硫酸が無いため、ワインの溶存酸素によるワイン成分の酸化が速くなります。
とはいえ、香りが悪くなる、変色もしやすい、酸化も速い、と言われれば、無添加ワインにする必要性をあまり感じ無くなります。
この章ではもう一つの誤解の有機ワインについての記述もあるので、ぜひ読んで下さい。
でも気を付けて!
ワインのウンチクは言い方によっては、大変な有害物質になります。
つねご
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